いなべFM第90回令和6年10月25日放送「高齢者のポリファーマシーについて」
いなべFM第90回令和6年10月25日放送「高齢者のポリファーマシー」
厚生労働省では毎年10月17日から23日の1週間を「薬と健康の週間」としています。高齢になると複数の疾患を抱えて、薬をたくさん飲んでいる方も珍しくありません。沢山の薬を飲んでいることが原因で副作用がでたり、きちんと薬が飲めなくなったりするトラブルを「ポリファーマシー」と呼び、薬剤師を中心に対策しています。今回は「高齢者のポリファーマシー」について、ほくせい調剤薬局 薬剤師 佐藤宏樹さんへのインタビューです。
かかりつけ薬局をもちましょう!!
ポリファーマシーとは、単に服用する薬の数が多いことではなく、それに関連して薬物による有害事象リスクの増加や、薬の飲み忘れ・飲み間違いや残薬の発生という問題につながる状態をいいます。とくに高齢になると、複数の病気を持つ人が増え、通院する病院や服用する薬の数が多くなるため、これらの問題が起こりやすくなります。どのような薬でも副作用が起こる可能性はありますが、薬の種類が増えれば、飲んでいる薬同士が影響しあったり、また、年齢が進むにつれ腎臓や肝臓の働きが弱くなり、薬が効きすぎたり効かなかったり、副作用が起きやすくなってしまいます。
では、ポリファーマシーを防ぐためにはどうしたらよいか。ただ処方する薬の数や量を減らせばいいというわけではありません。服用しているすべての薬を把握し、正しく服用管理することが大切です。そのために、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師を持ちましょう。複数の病院に通っている場合でも、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師をつくることで、処方されている薬の情報をすべて把握してもらっておくと安心です。わたしたち薬剤師は、ご家族をはじめ、介護施設、医療機関といった関係する多職種と情報を共有し、服薬のサポートや多剤・重複服薬を見直し、処方の適正化もお手伝いします。
また、かかりつけ薬局を作るのが難しい場合は、お薬手帳を活用するのも方法のひとつです。自分の病気や飲んでいる薬について知ってもらえるよう、お薬手帳は1冊にまとめ、受診時に必ず医師や薬剤師に見せてください。お薬手帳は災害などの緊急時の備えにもなります。薬を飲んでいて「なにか変だな」「いつもと違うな」と感じても、自分の判断で薬をやめたり、減らしたりするのはよくありません。必ず、かかりつけの医師や薬剤師に相談してみてください。
一番大切なのは、飲んでいる薬の数ではなく、本当にその薬が必要かどうかという点です。ただたくさんの薬を飲めば大丈夫というわけではなく、必要な薬を必要なタイミングで服用することが、自分の健康を守ることになります。とはいえ、どの薬が本当に必要な薬か自分では判断できない方がほとんどだと思います。その時は、是非かかりつけの薬局・薬剤師に相談してみてください。
まとめ
お薬手帳は1冊にまとめておき、処方されている薬全体を把握できるようにしておきましょう。また1か所、かかりつけ薬局をもって、日頃から処方されている薬の情報を把握してもらっておくことや、自分の判断で勝手に服用をやめず医師や薬剤師に相談しましょう。同じ病気で複数の医療機関にかかる重複受診になり薬の重複も招くということもありますので、できるだけ控えることも大切だと思います。
※インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています。
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