いなべFM第74回 令和6年2月23日 「医療ソーシャルワーカーの役割」

ページ番号1013818  更新日 令和6年2月29日

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医療、教育、福祉、介護などの業界で相談支援を行う専門職の方を、ソーシャルワーカーと呼びます。医療ソーシャルワーカーは病院をはじめとした保健医療機関で相談業務にあたるソーシャルワーカーのことを意味します。医療ソーシャルワーカーは、医療施設で患者さんやその家族と向き合い、社会的な問題などの解決に向けた調整や支援を行うということが主な業務内容となります。

今回は三重北医療センターいなべ総合病院 医療ソーシャルワーカー 今尾真理さんへのインタビューです。

 

事前に話し合う取り組み アドバンス・ケア・プランニング

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今尾 真理さん

私たち医療ソーシャルワーカーは、病気に伴って起こってくる生活上の様々な問題を患者さんやその家族から相談を受け、解決に向けたお手伝いをする専門職です。

具体的には、退院後の介護が心配、どんな病院や施設があるかわからない、医療費や生活費が心配、介護保険や健康保険のことが知りたい、入院中の育児や介護をどうしたらいいのかなど、病気によって生じる様々な問題に対して相談に応じています。

医療ソーシャルワーカーという資格はありませんが、社会福祉を専門とし、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を有する人が業務に就くことが多くなっています。当院では、現在5名の社会福祉士が医療相談室に配属されており、入退院支援看護師と連携を図り、看護や社会福祉の専門的視点から業務を行っています。

これまでに相談を受けた方で、印象に残った方を紹介します。在宅療養中のAさんは、進行性の病気を抱えておられました。お子さんはすでに独立され、病前は夫婦で趣味の旅行を楽しんでおられました。主治医より、今後、治療をどのように行っていくのか、延命治療は行うのかなど、家族で話し合うようにと言われたAさんから相談を受けました。家族が集まり、それぞれの思いを語り合いました。家族は「少しでも長く生きて欲しい」と願い、Aさんは「機器に繋がれ延命治療を行って生きることは望んでいない。できる限り自宅で過ごしたい。」と言われました。そして最後には、「みんなの気持ちは嬉しいけれど、自分の希望通りにして欲しい。」と言われるAさんの気持ちを家族は尊重することとなりました。この話し合いから暫くして、Aさんは自宅でお亡くなりになりました。家族にとってはとても辛いことだったと思いますが、家族からは「あのときに十分話し合いをして、お互いの思いや考えが理解し合えたのはよかった。ありがとうございます。」という言葉をいただきました。涙ながらに皆さんがそれぞれの思いを話し合い、最終的にはAさんの思いが尊重され、その時間があったから家族はAさんの死を受け止めることができたのではないかと感じました。

いま、終末期にどんな医療やケアを望むのか、患者さん本人や家族、医療従事者などが事前に話し合う取り組み「アドバンス・ケア・プランニング」が全国の医療機関・介護現場で導入されています。 人は命の危険が迫った状態になると、約70%の方が医療やケアなどを自分で決めたり望みを人に伝えたりできなくなると言われています。自分の希望する医療やケアを受けるために大切にしていることや望んでいること、どこでどのような医療やケアを望むのかを自分自身で前もって考え、周囲の人達と話し合い、共有することが大切です。 アドバンス・ケア・プランニングの取り組みはまだ始まったばかりですが、私たち医療ソーシャルワーカーは、病気によって生じる様々な問題に対して相談に応じ、みなさんと一緒に考え問題解決を目指していきます。ぜひ、お気軽にご相談ください。

 

まとめ

医療ソーシャルワーカーはこのようにご家族と本人の間に立っていろいろな相談に応じる専門職です。入院中の方はもちろん、外来通院中の方も、相談に応じますので、お気軽に医療機関の相談窓口へご相談ください。

インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています。

このページに関するお問い合わせ

福祉部 長寿福祉課 [いなべ市役所]
電話:0594-86-7819 ファクス:0594-86-7865
〒511-0498 三重県いなべ市北勢町阿下喜31番地