いなべFM第73回 令和6年2月9日 「訪問診療」

ページ番号1013797  更新日 令和6年2月13日

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訪問診療は病院へ通院することが困難な患者さんに対して、医師が定期的に自宅を訪問して診療を行う医療サービスです。医学管理のもとに定期的に自宅に伺って健康管理を行います。今回はいなべ市で訪問診療を専門に行っているどんぐり診療所 院長 平山将司さんへのインタビューです。

 

在宅介護は家族自身の生活も大切に・・・

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平山将司さん

どんぐり診療所は開院して、6年が経過しました。今では自宅の患者さんを約150名、老人ホームなど施設の患者さんを約80名担当しています。年間約100名の方が自宅や施設でお亡くなりになっています。住み慣れた自宅で最期を過ごすということは、患者さん本人も穏やかに過ごすことができ、家族も最後まで本人にしっかり向き合えたという良い感想をいただけることが多く、これからもできる限り自宅で過ごせるようにお手伝いしていきたいと思っています。同様に家族への支援も重要だと思っています。病気にもよりますが、例えば、がんの末期などで急速に進行する病気の場合は、亡くなる1か月ぐらい前から体が動きにくくなり、介護が必要になります。この場合介護の期間が1か月ぐらいなので、家族も「それなら家で看ようか」ということになります。しかし、認知症や90歳を超えて体が弱ってきた方などの場合は、寿命がまだまだある可能性もあり、結果的に介護が何年も続いてしまい、家族が疲弊して老人ホームへ途中で入るというケースもあります。ただそれは、家族にも生活がありますので、仕方がないことだと感じています。介護が大変であれば、老人ホームに頼るのも選択肢のひとつです。逆に老人ホームに住んでいる方が、家に帰ってくるということもできます。そんなエピソードを紹介します。老人ホームに3年ほど入所中の認知症を患う患者さんは、毎回診察に行く度に「家に帰りたい」と嘆いておられました。その方が90歳を超えて、だんだん食事量も減り、老衰のような状態になりました。家族の方は、「本人がずっと家に帰りたいと言っていたから、最後ぐらいは家で看てあげたいな」と言われ、いよいよ食事が摂れなくなってきたときに、家に連れて帰りました。その後、自宅で、親戚も呼んでたくさんの方と一緒に過ごされ、退所2日後にお亡くなりになられました。患者さん自身はすごく穏やかな表情で過ごされたということでした。このように最後の日々だけ自宅で過ごすということもできます。家族にももちろん生活があるので、訪問看護師やヘルパーなど使えるサービスを利用し、家族の方自身の生活も大切にしてもらいたいと思っています。

 

まとめ

自宅で介護する場合、家族は在宅介護をひとりで抱え込まない事、在宅医療や介護サービスを使って、自分自身の時間をしっかりとるということが大切です。本人が何を望んでいるかということを中心に、家族はどんなことを介護としてやらなければならないか、どんなサービスを利用すればよいかなど、地域包括支援センターや、病院や施設相談員にご相談ください。

インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています。

このページに関するお問い合わせ

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電話:0594-86-7819 ファクス:0594-86-7865
〒511-0498 三重県いなべ市北勢町阿下喜31番地