いなべFM第102回令和7年4月25日放送「医療ソーシャルワーカーの役割」について
いなべFM第102回令和7年4月25日放送「医療ソーシャルワーカーの役割」
医療ソーシャルワーカーは医療機関に勤務し、患者やその家族が抱える様々な課題や問題を把握し、解決に向けて相談援助や連携調整を行う専門職です。病院には、医療相談室や地域連携室といった部署があり、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持った医療ソーシャルワーカーが相談・支援に対応します。
今回は、医療法人(社団)大和会日下病院地域連携室室長 社会福祉士の橘高春樹さんへのインタビューです。
医療機関や関係機関と共に皆さまの生活を支えます
医療ソーシャルワーカーの役割は、けがや病気で、今までと同様の生活ができなくなったり、病気の管理が必要になったりした時に、患者や家族の抱える課題や悩みを解決に導くために必要な情報提供を行い、サポートを行うことです。多くの方から相談を受ける機会がありますが、その中で印象に残ったAさんについてのエピソードを紹介します。
Aさんは、脳血管疾患を発症して左半身麻痺の後遺症が残り、リハビリをしながら在宅療養をしていました。ある日突然、おう吐と高熱を発症し、病院へ救急搬送されました。
検査の結果、Aさんは腸閉塞と誤嚥性肺炎の診断を受け、治療が開始されました。しばらくして症状は安定しましたが、安静期間が長くなり、Aさんは寝たきりとなってしまいました。入院中も、血糖や血圧管理、誤嚥性肺炎を予防するための食事や、食べ方の工夫、排便の管理、そしてオムツ交換や入浴介助など多くのケアが必要でした。
ある日、Aさんの奥さんから「家に帰りたいと言っている。自分も家で看てあげたい」 と強い希望がありました。しかし、退院して自宅へ戻るためには解決すべき課題が山積でした。
自宅で安心・安全に過ごせるように、Aさんに必要な血糖や血圧、排便の管理方法と記録をつけること、食事の工夫や食べるときの注意点など、主治医をはじめ、専門職がAさんの奥さんへ指導を行いました。
介護するのは奥さん一人ですから、奥さんの介護負担をできるだけ少なくすることを 中心に、訪問診療や訪問看護、訪問リハビリなどの医療サービスの導入、オムツ交換や入浴の介護サービス、オムツの助成制度など、さまざまな制度や社会資源を活用し、退院が可能になりました。
退院後、奥さんの介護負担が重くなっていないか、Aさんが安心して過ごすことができているか心配していましたが、専門職チームがAさんと奥さんを支えることができており、奥さんからは「今が一番幸せ」という言葉をお聞きしました。
今後も、医療ソーシャルワーカーとして地域の関係機関と共に、地域住民の生活を支えていきます。
まとめ
医療ソーシャルワーカーは、患者や家族が抱える悩みや問題解決のために、医療機関や関係機関との調整や連携を行う専門職です。入院中の方はもちろん、外来通院中の方も相談に応じますので、お気軽に相談窓口へお越しいただければと思います。
※インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています。
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