いなべFM第112回令和7年9月26日放送「認知症の原因となる病気」について
いなべFM第112回令和7年9月26日放送「認知症の原因となる病気」

9月は「認知症月間」と定められ、認知症に対する関心と理解を深めるための様々な活動が行われます。
前回に引き続き認知症について、 脳神経内科の家田俊明医師にお話をうかがいます。
アルツハイマー病がよく知られています

認知症の原因となる代表的な病気は、脳の神経細胞そのものが衰えていくアルツハイマー病がよく知られています。アルツハイマー病は、脳の神経細胞に悪玉のアミロイドが溜まることによって、神経細胞そのものの働きが低下します。また、脳の神経細胞にレビー小体やタウタンパク質などといった悪玉物質が溜まることが原因と考えられている、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症があります。
ほかにも、脳の血管が詰まったり、破れたりすることによって神経細胞に酸素や栄養が届かなくなり、働きが低下する血管性認知症があります。小さな脳梗塞を何度も繰り返すことによって起きる多発性脳梗塞や、大きな脳梗塞で麻ひが起きるのと同時に認知症を発症することがあります。また、隠れ脳梗塞のような、本人が気付かないうちに小さな脳梗塞を何度も起こして、いつの間にか認知症をきたしているということもあります。
認知症の治療として、確立しているものは、アルツハイマー型認知症に対する治療だけです。アルツハイマー型認知症の中核症状に対する治療として、現在注目されているのは、悪玉アミロイドに対する直接的な治療です。「レカネマブ」と「ドナネマブ」の2剤が日本でも使えるようになりました。
さらに、脳の神経機能を改善する治療があり、低下したアセチルコリン作動性神経の機能を改善する治療として、「ドネペジル」、「ガランタミン」、「リバスチグミン」の3剤があります。
このほか、異常に興奮するNMDA受容体の機能を穏やかにする治療として、「メマンチン」が知られています。周辺症状に対する治療にもメマンチンが有効で精神症状も穏やかになることが知られています。睡眠機能の改善が認知機能の改善につながるため、「スボレキサント」や「レンボレキサント」といったオレキシン受容体拮抗(きっこう)薬も有効といわれています。また、不穏やせん妄に対しては、「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」がよく用いられます。
まとめ
認知症の種類によっては、早期の治療により認知症の症状の進行を抑え、リハビリや介護サービスを利用するなど生活環境を整えることで、日常生活の支障を軽減することが可能です。「もしかして認知症では」と思われる症状に気づいたら、適切な専門医療機関へつなげてもらうためにも、かかりつけ医へご相談ください。
※インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています。
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