いなべFM第116回令和7年11月28日放送「緩和ケア」について

ページ番号1015228  更新日 令和7年12月10日

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いなべFM第116回令和7年11月28日放送「緩和ケア」

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115~118回の全4回は、在宅診療クリニックの「しんじょう医院」院長の新城拓也さんにお話いただきます。前回の「がん告知」では、優しさや思いやりのある話の伝え方ができなくなってきているとお話がありました。引き続き、がん告知と緩和ケアについてのお話です。

 

がん患者の痛みをとる医療用麻薬

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患者さんにがんであるということを伝えることが、医師の私にとって大事な仕事になりました。どのように伝えたら良いかということを学び始めた当時30歳前後の私は、「緩和ケア」というものに出会いました。2000年ごろに緩和ケアの勉強会に1人で行き、そこで学んだ内容は、当時員弁厚生病院で働いていた私には、とても驚くべき内容でした。患者さんとがんの話をしていく手順というものが、すでにアメリカでは話し合われていて、そのやり方がきちんと日本語になって伝わっていました。

その順番は、(1)話し合う場所をきちんと用意する(2)患者さんが自分の病気をどう思っているかを聞く(3)医師は「あなとの病気について話があるのだけれど、話してよいか」と患者さんに尋ねる(4)病名やこれから起こりうることについて話す(5)話が終わったときに、「今の話を聞いて、どのように感じたか」と患者さんの感情を聞く。

急に話を始めたり、相手の反応を見ながら赴くままに話すのではなく、まるで手術の手順のように、きちんとした方法があるということを私は初めて知りました。

また2000年ごろはがんの痛みというものに直面すると、医師は手立てがなく困り、患者さんは痛くて困り、どちらも大変な状況でした。がんの痛みを医療用麻薬を使ってきちんと止められるという知識はあっても、その方法を誰からも教わることができず、紙で印刷されたマニュアルを読んでも、その通りできるものではありません。教わる人もなく、料理の手順書のように、がんの痛み止めを使うことは、私にはできませんでした。

そこで私は、勉強会で知り合った大阪の先生など一人一人に電話をかけ、患者さんの状況を毎回毎回しつこく電話で伝えながら、教えてもらいました。そして、私のやることをきちんと理解してもらうために、員弁厚生病院でも、基本からみんなで一緒に学ぶための勉強会を始めました。他の医師や看護師も、私が医療用麻薬の経験を重ねるごとに、まだ若い私の言うことを信頼してくれるようになりました。約1年かけて少しずつ理解されるようになり、先輩医師からも、苦しんでいる患者さんを一緒に診てくれと依頼され、痛みが取れた患者さんと喜びを共有できることは、ものすごいことで、医療用麻薬についてこんな良い治療があるのかと、その威力に魅了されました。

その頃から緩和ケアへの関心が強くなり、私の一生の仕事にしたいと思い、より専門的に学べる神戸中央病院で勤務することになったのです。

 

 

まとめ

引き続き、次回も「在宅医療」について、しんじょう医院院長 の新城拓也さんよりお話いただきます。

 

*インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています

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