いなべFM第82回 令和6年6月28日「高齢者のお口の健康維持」
いなべFM第第82回 令和6年6月28日:「高齢者のお口の健康維持」
令和6年6月4日~6月10日は「歯の寿命を延ばし、健康の保持増進」につなげることを目的とした「歯と口の健康週間」です。今回は、歯科衛生士の石田俊江さんへのインタビューです。
お口は全身の健康維持の入口
口腔機能の衰えを表す“オーラルフレイル”という言葉をご存じでしょうか。口腔の(オーラル)虚弱(フレイル)を表す言葉です。「食事の時にむせやすくなった」「食べこぼす」「食欲がない」「やわらかいものを好んで食べるようになった」「滑舌が悪くなった」などの症状は口腔機能の衰え、オーラルフレイルといわれます。
例えば、虫歯とか歯周病、入れ歯が合わないということによって、今までかめていたものがかめなくなることがあります。そうすると、やわらかい食べ物を選ぶようになる。やわらかい物ばかり食べていると、かむために必要な筋力が低下し、さらにかむ力が衰えるといった悪循環になります。食品はバランスよく食べることが大切ですが、かめなくなることによって、食べ物の選択肢も狭くなり栄養が偏ってしまいます。歯や歯茎に痛みがある場合は、歯科医院で治療を受ける、また早くオーラルフレイルに気づいて対応することも大切です。
90代のAさんのケースを紹介します。Aさんから、「近頃、薬が飲みにくくなった。」という相談を受けました。お口の中には大きな問題はありませんでしたが、ひとり暮らしで、外出や電話、人との会話が少なく、食事もひとりでとることが多い方でした。口腔機能の衰えによるオーラルフレイルで飲み込む力が低下していると思いました。そこで、口周りや舌の筋力をアップする”あいうべ体操”を1日30回行うようにおすすめしました。一か月後Aさんは、”あいうべ体操を毎日続けたら、薬をスーッと飲み込めるようになった。”と、とても喜んでいました。
口腔機能が衰えて薬が飲み込みにくいといったオーラルフレイルであっても、早期に適切な対策を行うことにより、改善する可能性があることを実感しました。一日の生活を振り返って、人と会話をしてない、お口を使っていないという日は歌を歌ったり、本の音読をしたり、”あいうべ体操”を行うことをおすすめします。
また、口の中を清潔にしていないと、誤嚥性肺炎のリスクが高まり、虫歯や歯周病も発生しやすくなります。口の中を清潔にするには、歯ブラシだけではなくデンタルフロス、歯間ブラシなどを使っていただくことや、定期的に歯科医院を受診してお口のメンテナンスを受けることも大切です。
まとめ
「お口は全身の健康維持の入口」というエピソードで、早めにオーラルフレイルに気づいて対応することが大切です。歯科医院への通院が難しいという方は、訪問口腔ケアというサービスをご利用ください。訪問口腔ケアについての問い合わせは、担当のケアマネージャーや地域包括支援センターまでお問い合わせください。
※あいうべ体操:舌の筋肉をはじめ口元の筋肉を鍛える体操で、「あ~」「い~」「う~」「べ~」と口を大きく動かす体操のこと
インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています。
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