いなべFM第76回 令和6年3月22日 「ケアマネジャーの役割」
ケアマネジャーは、要介護者や要支援者の相談や心身の状況に応じた介護サービスが受けられるように計画の作成や必要な事業所との連絡調整をしてくれる方です。
今回は、いなべ市社協ケアプランセンター ケアマネジャーの松岡裕子さんへのインタビューです。
医療と介護そして地域をつなぐケアマネージャー
私がこれまでに担当した方の話を紹介します。その方は80歳代の夫婦ともに認知症のある世帯の方で、ご家族は遠方にお住まいでした。その夫婦はともに外へ出ることに消極的で、地域との関わりもあまりない生活でした。私は、認知症の進行を心配し、閉じこもらないように、通所系のサービスを提案しました。しかし、外へ出ることへの不安や、知らない人への不信感から拒否感が強く、サービスには繋がりませんでした。2人がいつも「病院は行きたくない」「最後まで家にいたい」と希望していたこともあり、在宅医療を受けられる「どんぐり診療所」や訪問系のサービスを調整しました。奥様は弱っていくご主人を目の前にし、不安を抱きながらも、主治医や訪問看護師、ヘルパーの支援を受け、医療や介護の助言を繰り返し受けながら、日中夜間問わず、やったことのない介護をやり遂げ、最期はご主人を自宅で看取られました。その後奥様は1人になりましたが、ご主人を支援していた事業所への信頼感が強く、奥様自身も介護サービスを利用されています。ただ、ご主人の介護をしているときの習慣から起床時間が3時とかなり早くなり、近所の方々との生活リズムが異なるようになりました。活動時間が他の人たちと異なるため、さらに人との関わりが減り、家族は心配されていました。しかし医療と介護が連携して情報共有を行い、家族にも、その時々の状況を連絡することで、本人、家族ともに安心して過ごされています。体が不自由になっても、何かを諦めるのではなく、こうなりたいという本人の強い思いと、できることを継続する力が何より大切です。その思いや継続する力を尊重し、本人の望む最後まで自宅で暮らしたいという思いに寄り添い、日々多職種で応援しながら支援しています。またいなべ市も、一人暮らしや高齢者世帯が増えています。介護保険や介護保険外のサービスだけでは、すべてを支えることはできません。その方を地域で見守ってくれている民生委員さん、直接的な関わりはなくても「電気がついていた」「歩いていた」と、近所の方が見守ってくれていることは、住み慣れた地域で暮らしていくのにはとても心強いことです。
まとめ
最近は若い年代の介護サービス利用者の方も増え、様々な課題を抱えた利用者と家族が多くなっています。ケアマネージャーは、利用者と支える家族が安心して暮らしていけるように、医療と介護、そして地域をつなぐかけ橋としての役割を担っています。
インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています。
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