いなべFM第1回 :「みんなで支える幸齢社会」

ページ番号1010338  更新日 令和4年2月1日

印刷 大きな文字で印刷

初回(令和3年1月8日放送分):いなべ市役所長寿福祉課 守山浩子(看護師)

第1回守山さん

当日の放送内容を一部ご紹介します

  私は、看護師としては39年間、病院という場所で勤めさせていただきました。後半の16年間は、病院に在籍しておりましたが、患者さんのご自宅に出向いて看護を行う”訪問看護”に携わらせていただいた経験から、在宅医療や介護全般に関わるお話をさせていただきます。


地域の方から介護や医療についての相談を個人的に相談にのらせていただくことがあり、最近ご相談を受けた方のことを皆さんにご紹介したいと思います。


娘さんからの相談でした。お母さんと二人暮らしで、そのお母さんはもともと、糖尿病や認知症を患ってみえました。ちょっとしたことで転ばれて、骨折をして入院・手術をされました。その後、認知症が悪化し、言葉も少なくなり、食事を飲み込みにくくなっていきました。
 このままでは栄養が十分ではなくなりますので、主治医から胃ろうを勧められました。胃ろうというのは、一日2回~3回、胃に穴を開けて通したチューブから栄養を入れるのです。
主治医からは、胃ろうからの食事で栄養を賄い、介護は娘さん一人では大変だから、施設の入所を考えてはどうだろうと提案されたということでした。


娘さんは、「口から食べられず、施設のベッドでただ横になっているだけの生活はお母さんにとってどうなのだろう」と言われました。できれば家で看たい気持ちもあるけれど、それは無理なのではないかと思い悩んでいるとお話くださいました。
そんな相談を受けて、まず胃ろうについての説明をしました。また、介護ではどんなことをしなければならないかを伝えました。医療的な処置となると、皆さんは経験されたことがなく、抵抗があるのだと思いますが、ご高齢な介護者の方でもできる対応だと説明しました。


そして、何よりも一人で介護するのではないということや、お仕事を続けながら自宅で介護することは可能だということ、そのために介護保険があるということを説明しました。それから、今までの生活の中で、お母さんが介護や医療が必要になった時のことや、胃ろうについて話をされたことがあるかを尋ねましたが、「そんな話はしたことがない」というお答えでした。


入院中は、コロナ禍でなかなか面会は許されない状況でしたが、たまに面会が許可されるということでしたので、お母さんの調子の良さそうな時に、一度家に帰りたいか聴いてみてくださいとお伝えしました。すると、ある日の面会の中で、お母さんから「家に帰りたい」という言葉を聞くことができたのです。


その言葉に娘さんは後押しされて、”胃ろうをして家に帰るんだ”と決められました。お母さんの方も、”家に帰る”という言葉が励みになったのか、胃ろうで栄養状態が整い、リハビリを頑張る中で認知症の状態もだんだん良くなりました。しだいに、退院の日を待ちわびるようになられ、帰るためのいろいろなサービスの準備も整い、退院の日を無事に迎えることができました。


退院されて2か月程が経ちますが、自宅へ帰られてからのお母さんはデイサービスとショートステイを上手に使って、みるみる状態が良くなられました。今では、自分で口からペースト状のものを少し食べることができ、何より表情が違ってきています。娘さんも「周りの人からは介護は大変だねと言われることが多いけれど、ちっとも大変だと思わない。」「それより今こうやってお母さんと暮らせることがなにより幸せだ」と話してみえます。


今回は、色々な方の力を借りながら介護をするという選択を行ったことで、本人と家族が望む自宅での生活が実現したお話をご紹介しました。
自宅だけがよいということではなく、本人にとって一番よいことは何か、本人はどうしてほしいと思っているのか、そんなことをご家族も交えてしっかり考えること、その中で医療や介護に詳しい人に相談にのってもらうことが大切だと思います。


いなべ市では、いなべ市役所内にあります地域包括支援センターに総合的な相談窓口があります。
介護や医療についてのご相談は、地域包括支援センターへお尋ねください。

次回からは、医療や介護に携わる様々な専門家からのインタビューを交えながら、活動内容などを紹介していきます。

このページに関するお問い合わせ

福祉部 長寿福祉課 [いなべ市役所]
電話:0594-86-7819 ファクス:0594-86-7865
〒511-0498 三重県いなべ市北勢町阿下喜31番地