いなべFM第70回 令和5年12月22日 「在宅看取り」

ページ番号1013634  更新日 令和5年12月26日

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昨年からエンディングノートを住民の方へおすすめしていますが、実際に書くとなるとなかなか書けない、ということも耳にします。医療や介護についての部分を記入するための参考になりますように、今回はこの番組担当のいなべ市役所長寿福祉課守山より「在宅看取り」についてお話します。

 

「老衰でこれ以上治療ができない」と医師から言われたらどうしますか?

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高齢になってご飯が食べれなくなり、医師から「老衰や病気で、もうこれ以上治療はできない」と言われたらその後の生活についてどのように考えますか?少し自分がそうなったとき、ご家族がそうなったときのことを想像してみてください。そのようなことを医師から言われたご家族の相談について、お話をしたいと思います。その方は90代で、高齢になっても自宅での生活をなんとか継続されていた方でした。しかし転倒して骨折、入院してしまい口から食べる量がほんの少しになってしまいました。医師からは、「検査をして調べたが、この機能低下に関しては、老化現象です。もうこれ以上の治療はできない。その後の行き先については、療養病棟のある病院か、自宅のどちらかを選択してください。」と言われました。長男妻からの相談でした。私はまず本人はどのように思っているか、「ご本人の意思を確認してほしい」と言いました。その返事は、「家に帰りたいけど家族に世話になるのは悪いなぁ・・・」という言葉でした。本人の意思を基に、ご家族でこれから看取るということになると、どんなサービスが必要か、ご家族は家でどんな介護が必要となるかを説明しました。結果、家族間で協力しながら自宅で看ることになりました。ご家族としては今まで全く経験のないことですから、介護について想像もつかなかったと思います。病院と同じような福祉用具は自宅でも十分レンタルできますし、床ずれ予防のエアーマットは機能の良いものをレンタルできます。病院で行っている支援をそのまま家で必要かと思ってしまいますが、そうではないというお話をしました。今はオムツも大変吸水性のよいものがでていますし、夜用のオムツもあります。尿量にもよりますが、病院では3時間~4時間ごとに行っているオムツ交換は、一日3回くらいの交換でほぼ良いと思います。ご家族は、退院前に介護の方法を病院で指導してもらい、訪問診療で医師は自宅に訪問、訪問看護を週2回、看護師に体拭きやお口の中をきれいにしてもらって、寝巻きの交換やオムツ交換をしてもらいました。週1回は訪問入浴を利用しました。この入浴のサービスを本人さんはとても喜ばれたようです。お亡くなりになる前日もこの入浴サービスを受けられて、大変喜ばれたということでした。サービスの入らない日は、ご家族がオムツ交換とお口に中の掃除をする。そんな一日の生活で、毎日ご家族の顔を見て過ごす時間の中では笑顔も多く、退院してから一時は気力を取り戻されたような様子でした。でも「食べる」ということは叶わず、この方は退院後一か月余りで安らかに永眠されました。このように、食べれない、飲めない方に点滴でもしてもらったらどうか、というご家族からの言葉もよく聞きます。しかし体の機能が低下している方に外から水分を入れることが本当に必要なことか、却って体への負担が増えることにならないか、医師と相談することが必要です。この方の場合は、点滴はせず、欲しがるだけ、呑み込めるだけの水分を含んでもらって、最期を迎えられました。何も治療していなくても、本人を放置しているということではありません。その方に必要な「ケア」は最後までしています。そう考えれば良いのだと思います。ご家族は、自宅介護が始まった当初は慌ただしかったようですが、そのうちに必要なことも分かってきて訪問してくれる医療従事者から、これから起こってくる本人の状態の変化を事前に説明を受け、心の準備もできていったことや、介護をしながらいろいろなことを学んだということを言われていました。そして、「亡くなったことは寂しいことだけれども、最期を本人の思う場所で送ることができて本当によかった。」という言葉もお聞きしました。介護は支える側が実は支えられている、ということです。この介護の日々のことはこれから生きていく家族の生きる活力にもなっていくと思います。

エンディングノートに書いてあります、どこで介護をしてほしいか、延命治療はどうするのか、もう治療は望めないと言われた時はどうしたいか、ご自身の意思を是非書き留めて、家族に伝えていただきたいと思います。

                                                                         内容は趣旨を変えない程度に編集しています。

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福祉部 長寿福祉課 [いなべ市役所]
電話:0594-86-7819 ファクス:0594-86-7865
〒511-0498 三重県いなべ市北勢町阿下喜31番地