いなべFM第69回 令和5年12月8日 「がんサバイバー」の方からのお話

ページ番号1013540  更新日 令和5年12月12日

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がんサバイバーとは、がんと診断を受けたすべての人を言い表す言葉です。日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性も女性も2人に1人となっています。がんというものを知ってよりよく生きること、がん患者が安心して暮らせる社会を作ることがめざすべきところと言われています。今回はがんサバイバー 小林圭介さんへのインタビューです。

私は今、元気で幸せです!

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小林圭介さん

私は17歳の時に、小脳の松果体に腫瘍が見つかり手術を受けました。症状は、頭痛、複視(物が二つに見える)、吐き気と平衡感覚の狂いでした。その当時の手術の成功率と手術後の後遺症で半身麻痺になる可能性を聞いたときは、とてもショックでした。「あれがやりたかった、これがやりたかった」「何もできずに自分の人生終わるのか」などと悩みました。手術は病院の脳外科チームによる約10時間の手術でした。難しい手術だったことや完全に切除することができなかったこともあり、翌年の12月大学受験の真っ最中に再発し、ガンマナイフ治療をしました。それから1年半を棒に振って化学療法や放射線治療を受けました。治療中でも病院で勉強を続け、大学に進学後今はいなべ市の健康に関する仕事をしています。手術を待つまでの時期や療養中、再発を心配していた頃は、ご飯もあまり食べられず、摂食障害のような状態になり、今よりも10キロ痩せていました。不安で眠れず、寝汗でびっしょりの日もありました。数ヶ月ごとの再発の検査が近づいてくると、それから先のことを考える余裕はなく、数年先も真っ暗で全く見えませんでした。後遺症として複視が残りましたが、普通にご飯が食べられて、自分の好きな時に、自分の足で自分の好きなところに行くことができます。そしてこの最長記録を伸ばしていくことが、病院でお世話になった先生方への恩返しになればと思っています。今に至るまで、本当に家族や親族、友人、そして妻に助けられて、今の元気な自分があります。時には過剰に心配する家族に反発するときもありましたが、家族も辛かったのだと今ではわかります。この経験を通していろいろなことを得ることができましたし、また逆に捨てることもできたので、今となってはこの経験に感謝しても良いのかもしれません。同じような病気に悩まれている方にお伝えできることはなんだろうと考えましたが、一つ確かに言えることは「色々大変だったけど、私は今、元気で幸せです」ということかなと思います。もう一つ欲張ってお伝えするとすれば、私の結婚式の日に、妻のサプライズで、当時の主治医のA先生からビデオレターをいただきました。その中で「君にこの言葉を送ります」と頂いた言葉がありました。その言葉は、ラインホールド・ニーバーの「変えることのできるものについてそれを変えるだけの勇気を私にください。変えることのできないものについてはそれを受入れるだけの冷静さをください。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものと識別する知恵をください。」という祈りの言葉で、シンプルで良い言葉だと思っています。また私は元気クラブいなべの職員として、いなべ市の健康に関する仕事をしています。いなべ市には元気づくりの場があります。この事業に関わってこれたことも、今の自分の幸せに繋がっていると思います。仲間を作り、体を動かすことは、様々な理由で元気のない方やその家族の方にも良い影響があると思います。皆さんのご参加をお待ちしています。

まとめ

小林さんは、発病してから、約25年経過し、今では19年ほど受診はしていないということでした。辛い治療の間に、精神的な支えになってくれたのは、その時の友人、今の奥さんでした。仕事を始めてから約19年経ち、体を動かすことで、益々自分の体が元気になっていくことが実感できて、体づくりの大切さもしみじみ感じているということでした。

また、高校生のとき、病気を告知され、その時、やりたいと思ってやり残したことがあることを悔やんだということで、病気は一応完治としているけれど、やはりずっと付き合っていかなければならないものなので、今はやりたいと思ったことはすぐ実行するようにしている、というようなとてもポジティブなお考えを聞かせていただきました。

インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています。

 

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