いなべFM第58回 令和5年6月23日 「高齢者に起きやすいお口のトラブル」

ページ番号1013079  更新日 令和5年6月29日

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6月4日~10日は歯と口の健康週間です。歯の健康を保つことは、体全体の健康を守ることにも繋がります。今回はKIデンタルクリニック 院長 井上 浩一さんへのインタビューです。

全世界で最も蔓延している病気は歯周病!

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井上浩一さん

高齢者に起きやすいお口のトラブルは、まず歯周病ではないでしょうか?2001年に全世界で最も蔓延している病気は歯周病であり、この病気にかかっていない人間は地球上で、数えるほどしかいないということで、ギネスブックに登録されました。歯周病は歯の汚れの中に存在する歯周病菌が、歯茎の中に入り込み免疫反応により炎症が起こる病気です。炎症により出血しやすくなったり、歯を支える骨が破壊され歯がぐらついたり、最終的に歯が自然に抜けてしまうこともあります。また、歯が悪くなるだけではなく、全身にも影響を及ぼします。炎症反応が続くことにより、糖尿病の悪化、アルツハイマー病・呼吸器疾患・脳梗塞・心筋梗塞・関節リウマチ・早産・低体重児などのリスクが高くなることが分かっています。実際、歯周病の基本治療を受けた糖尿病の患者さんを3か月後に検査すると、数値の改善が認められます。また、2016年に行われた疫学調査では、調査開始時には歯周病の有無で認知機能に差はありませんでしたが、歯周病のあるグループの人たちは、6か月後認知機能の低下の割合が6倍も高かったとの報告があります。歯ブラシは皆さん毎日行っていると思いますが、チェックをすると汚れを残して欲しくない場所が磨けてないことがよくあります。せっかく磨くのなら、正しい磨き方を教えてもらい、症状に合った歯ブラシ、サイズの合った歯間ブラシを選んでもらってはいかがでしょうか。そして、レントゲンでどれくらい骨が減ってしまっているのか、自分の歯周病の状態を知ることが大切です。

高齢者に起きやすいお口のトラブルをもう一つ挙げると、口腔機能低下症です。これは加齢により、お口の感覚や噛むこと、飲み込むこと、話すこと、唾液の量が減るなどの衰えが出ることです。昨年の4月から50歳以上の方は保険適用で口腔機能の検査を受けることができます。7項目の検査結果により、どの能力が低下しているのかわかります。例えば、お口の水分量が低下していれば、唾液の量が少なくなっているため、唾液腺マッサージを行ったり、舌の筋力が低下していれば舌の筋トレを行うなど、それぞれに対応した指導を受けることができ、継続して行うことで症状は改善します。最後に、歯科は痛みが出ないと行かないという方もいるかもしれません。「歯科が苦手なので」という方もいるでしょう。しかしそういう方にこそ、歯科での定期健診を受けて欲しいです。放置することで、治療が大変になってしまい、また歯科が苦手になってしまうという悪循環に陥るからです。定期検診を受けていれば、お口のトラブルが起こったとしても早期に発見でき、比較的負担の少ない治療で終わることが多いです。まずは自分が今どういう状態なのかを知り、気づかない間に症状が進行するのを予防しましょう。

まとめ

いなべ市では、40歳、50歳、60歳、70歳の年齢の方を対象に歯周病疾患検診を行っています。自己負担なしで桑員歯科医師会の指定する歯科医療機関で受けることができます。またお口の健康チェックも75歳、77歳、80歳の方を対象として行っています。これは三重県歯科医師会の指定する歯科医療機関で受けることができます。それぞれ対象の方にはいなべ市より通知がいきますので、その際には是非検診を受けていただくと良いと思います。

※インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています。

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電話:0594-86-7819 ファクス:0594-86-7865
〒511-0498 三重県いなべ市北勢町阿下喜31番地