いなべFM第46回 令和4年12月23日 「介護者の想い」について

ページ番号1012582  更新日 令和5年1月5日

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今回は、ご自宅で看取りをされたご家族の「介護者の想い」についてのお話です。

介護する支えになった義母の言葉

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義母のがん発症から4年が経った頃、病院から「がんの末期で出来る治療はない」と言われ、ケアマネジャーより在宅医療専門のどんぐり診療所を勧めてもらいました。ケアマネジャーや看護師の方から「今は、仕事を辞めて介護をする時代じゃない」「家族が覚悟を決めたら、周りが動き出す」と背中を押していただきました。このとき、義母の思いを直接聞くことはできませんでしたが、元気なときに「家がいいな」と言っていたことを思い出し、「きっと家に帰りたいはず」「みんなでやってみよう」と、家族で覚悟を決めました。その後自宅で3か月間医療と介護の専門職の皆さんにお世話になり、家族で義母の最期を看取ることができました。医療的なことは、どんぐり診療所、訪問看護ステーション、訪問リハビリテーション、歯科医師、薬剤師の方に、介護の面ではケアマネジャーを中心に、福祉用具、ヘルパー、訪問入浴の方にお世話になりました。夫と私は職場に事情を話し、職場の皆さんに助けていただき仕事を続けました。家事は私が食事を担当し、夫は食事以外の掃除洗濯を担当しました。夫と私が仕事でいない時間は義母が1人にならないようにと、親戚のおばさんたちが「おるだけやけど・・・」と交代でいてくれました。県外に嫁いだ、実の娘が看護師で、毎週3日間泊り込んで助けてくれました。家にいて義母が一番嬉しそうだったのは、「おばあちゃん、ただいま」と孫が帰ってきたときでした。話せなくても笑顔で対応し孫が変顔をすると変顔で応える、そんな日常が幸せだったのでは、と思います。最初はいろいろ失敗しました。体温や血圧を測り忘れたり、おむつ交換が下手で、夜中にシーツやパジャマをすべて取りかえたりなど、十分なことができず悩みました。そんなとき義母は、「適当でええでな、適当にしといて」と言いました。気丈な義母の精一杯の気遣いだと感じました。私は悩むのをやめ、心の中で「またやってしまった、こんなことでごめん」と謝りつつ、精一杯やれることをやろうと、気持ちを切り替えることができました。私は最後までこの言葉に助けられました。

自宅での看取りは専門職の方の協力と、家族がやれるだけのことをやることで実現できると思います。そして、この経験は残された家族にとって、「やれるだけのことをやった」「義母への感謝の気持ちを伝えられた」という心の支えになっています。

 

まとめ

介護をしている毎日は日々を振り返る余裕などないと思います。しかし看取りの後、その経験が力になり、自分の支えになることや、他の人に自分の経験を伝えられるということもあると思います。ご本人の意思を大切に、在宅療養が可能かどうかまずは病院であれば、医療相談室、そして地域包括支援センターなどの相談できる場所や、担当のケアマネジャーの方に相談しましょう。まずは「一緒に考える」ということから始めていただきたいと思います。

※インタビューの内容は趣旨を変えない程度に編集しています。

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