市長コラム(平成27年分)

ページ番号1002129  更新日 平成29年3月9日

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農具店に生まれて(Link 2015年11月号掲載)

写真:いなべの茶っぷりん
今年5月にお披露目会が行われた
「いなべの茶っぷりん」。
いなべの茶を使ったプリンが市内外
あわせて約20店舗の飲食店で発売
されており話題に

私の生家は農具店。農家の苦労と農業へのロマンを聞きながら育ちました。あの時代は食料増産、米価は高値で安定し、農家は生産意欲に満ち溢れていました。しかし、今は輸入品と獣害で、圃場を維持することさえ難しく、各地で後継者が問題となっています。その様な中、新たに農業を志す若者が増えてきていることを嬉しく思います。それも消費者の嗜好を的確に捉え、「ただ安ければ良い」という発想から、本物志向で勝負しています。農薬や化学肥料漬けで見た目だけが綺麗な食品とは違い、安全・安心は当たり前、さらに、この地ならではの付加価値や物語性を付け加え、持続可能な価格で顧客の心をつかんでいます。

今、市はいなべの農や食、自然や風土を名古屋市場に売り込んでいます。興味を持たれた方がいなべの顧客となり、この地を訪れ、新たな就農者が生まれることを期待しています。

覚王山アパート(Link 2015年10月号掲載)

写真:針金細工 八百魚
覚王山アパート内にある工房兼ショップ「針金細工 八百魚」の作品

20年前、名古屋の覚王山商店街には閉塞感が漂い、空き店舗が4割を占めるほどに衰退していました。その活性化を託されたのが石黒靖敏氏。現在総務省の地域人材として阿下喜の活性化や新庁舎の賑わいをプロデュースしていただいている方です。

さて、その覚王山小手院外の活性化の象徴となっているのが覚王山アパート。築50年の古いアパートを改築し、若手の芸術家の工房やギャラリーに開放しました。すると、芸術のもつ独特な雰囲気がオシャレ感となり、芸術や工芸には縁の無い人も立ち寄る名古屋の新名所になり、空き店舗は無くなり、春秋のイベントには10万人を超す来場者で溢れる活気ある商店街に変貌しました。

いなべの街も若き芸術家が集い、オシャレな街に変貌することを期待します。

自閉症の僕が跳びはねる理由(Link 2015年9月号掲載)

写真3
「跳びはねる思考」
著:東田 直樹
発行:株式会社イーストプレス

人と会話することができない重度の自閉症者・東田直樹さんがパソコンや文字盤を使い書き上げた書籍が世界20か国以上で出版され、ベストセラーとなっています。普段、彼の口から出る言葉は奇声や雄叫び、意味のない独り言です。しかし、そんな彼からは想像できない表現豊かな文章で綴られています。

少し紹介します。

「じっとしている時も、常に僕の体は、何かに揺り動かされてるような感じがしています。・・・同じ体勢でいると、自分が自分でなくなるような不安にかられるのです」

「僕は小さい頃、いつも泣いてばかりいました。・・・昔の僕は、出口のない真っ暗なトンネルの中にいるようでした。どんなに困っていたか、悩んでいたか、誰にもわからなかったでしょう。僕の望みは、ただ抱きしめて『大丈夫だよ』と言ってもらうことでした」

世の中には様々な人がいて、多様性に富んでいます。自分とは違う他人を排斥するのではなく、共感し、受け入れる度量が社会に求められているように感じます。

戦没者の慰霊碑(Link 2015年8月号掲載)

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石榑の忠魂碑

私の母の叔父は沖縄で戦死しています。享年26才。地形が変わるほどの艦砲射撃に火炎放射器を使った掃討戦。遺骨はおろか、遺品も戻っていません。高等商業を卒業し、中国の華北交通に就職が決まっての招集。もしも、陸軍に入隊していなくても日本に無事帰ることは難しかったかもしれません。日本人の戦没者は310万人、犠牲となられたご英霊に謹んで哀悼の意を申し上げます。

ところで、戦後、戦没者の慰霊碑が各地に建てられ、今日まで適切に管理されてきました。個人で建てられたものは相続された方が、自治会で建てられたものは、各自治会や地域の遺族会の皆さんのご奉仕で管理されています。心より感謝を申し上げます。しかし、戦後70年、遺族の方も高齢化し、慰霊碑の管理が年々難しくなっています。戦争の記憶を風化させないためにも、持続可能な管理のあり方が求められています。

初めての国際大会(TOJ=ツアー・オブ・ジャパン)を終えて(Link 2015年7月号掲載)

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日沖市長

世界のトップレーサーが集う、初めての国際大会。公道を舞台としたレースだけに地元の皆さんのご協力をはじめ、団体や企業の皆さん、地元の小学生や保育園児にもご協力いただき大会を盛り上げていただきました。心より感謝申し上げます。

また、遠方より多くの自転車ファンも駆け付け、プロ選手のスピードと迫力、それ以上に地元の皆さんの「おもてなし」に満喫されていました。レース終了後、道路規制が解除されると、そこからは、一般レーサーのツアー・オブ・ジャパン。スポーツバイクにカラフルなジャージで颯爽とコースを疾走していました。いなべの道は交通量の割に整備が進んでいて「走りやすい」と自転車ファンには好評です。いなべ市は自転車での旅行(サイクル・ツーリズム)の誘客に努めています。訪れたサイクリストが買い物を、さらに、この地を気に入った人に移り住んでいただけたら幸いです。

来年もツアー・オブ・ジャパンを開催する予定です。今年の反省を糧にさらに進化したツアー・オブ・ジャパンにするため、ご協力をお願い申し上げます。

第18回ツアー・オブ・ジャパンいなべステージ大会長 日沖 靖

山頂の日本庭園(Link 2015年6月号掲載)

御池岳山頂の日本庭園

藤原岳は石灰質の山であり、侵食により地下には鍾乳洞、地表には岩が庭石のように点在するカレンフェルトと呼ばれる風光明媚な景観を生み出しています。また、侵食された窪地に水が溜まり、ドリーネと呼ばれる小さな池が数多く見受けられます。特に、御池岳から鈴北岳にかけての高地には日本庭園と呼ばれている名勝があり、京都のお寺を彷彿させる、まさに日本庭園が広がっています。

春は福寿草やカタクリの花を、秋には真赤に色付いた紅葉を目当てに多くの登山者が訪れます。そして、藤原岳の登山道の管理は地主ではなく、主に、山を愛するボランティアの皆さんで行われています。心より感謝申し上げます。

私は高校時代、新田次郎の山岳小説に魅せられて、一人で近くの冬山に登り、山頂付近で胸まで雪に埋れながらも無事下山したことがあります。今ではそんな無謀なことはしませんが、四季それぞれの魅力のある藤原岳。多くの皆さんに事故なく、ごみなく味わっていただければ幸いです。

健康に御用心(Link 2015年4月号掲載)

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煙管と煙草盆(いなべ市郷土資料館所蔵)

私の父は愛煙家。「ゴールデンバット」に「しんせい」の小袋が家のあちこちに点在し、晩酌の後には刻みタバコを煙管(きせる)に詰めて火鉢の炭火で一服するのが常でした。お蔭で私の兄弟3人は幼い頃からタバコの煙の下で育ち、父の記憶はタバコの香りです。しかし、タバコが身近な家庭環境にありながら、父以外に家族では誰もタバコを吸いません。そんな父が65歳の時、大動脈瘤(りゅう)で倒れ、私は実家に戻ることになりました。タバコが動脈硬化を早めたのは疑う余地はありません。

ところで、タバコ税の税収入は2.1兆円。しかし、タバコが原因による医療費の超過分は1.7兆円、加えて社会的損失は7兆円とも言われています。最近の生命保険は喫煙者の料率が割高になっています。健康保険の料金も喫煙の有無で変わる日が近いような気がします。愛煙家の皆さん、くれぐれも健康に御用心ください。

ボーダーライン(Link 2015年3月号掲載)

写真6
多くの来賓が訪れた出初式

昨年、消防の最前線がドラマ化されました。NHKドラマ「ボーダーライン」。災害や人命救助の現場で、生死に関わる決断を迫られる消防士、彼らは常に生と死の境界線・ボーダーラインに身を置いています。このドラマは全くやる気の無い新人消防士がギリギリの現場を次々に体験することにより、「救う側の人間」へと変貌してゆくお話です。

実際の消防士にドラマの感想をお聞きしましたら、少し脚色されていると言葉を濁しておられましたが、「身勝手な個人主義」が横行する世の中にあって、社会の根幹を支えている消防士にスポットライトを当てたドラマが放映されることを私は大いに歓迎し、喜んでいます。

また、全国的に災害が多くなり、地域の防災力の強化が叫ばれている今日、いなべ市でも少年消防クラブが結成されたことは防災意識の高揚に大きく貢献するものと確信しております。クラブの結成にご尽力いただきました皆さんに感謝申し上げます。

おもてなし(Link 2015年2月号掲載)

写真7
雛人形

日本が世界に誇る「おもてなし」。いなべ市にも、その「おもてなしの心」が広がっています。地域の賑わいを取り戻し、活性化するには多くの人に来ていただくことが大切です。そして、もう一度、来てみたい、この地で暮してみたいと思わせることが必要です。

昭和63年から始まった立田小学校の山村留学制度。立田地区の皆さんが留学生とその家族を最高のおもてなしで迎えています。聖宝寺のもみじ祭りも西藤原地区を挙げてのおもてなしです。

そして、「あげきのおひなさん」。11年前に始まったこのイベントも、今では早春の風物詩となり、いなべ市の魅力の大きな一つとなっています。皆さんのご尽力に心より感謝を申し上げます。

元気づくりに優秀賞(Link 2015年1月号掲載)

写真8
表彰式の様子

いなべ市の元気づくりの取組みが全国的に高く評価され「第3回健康寿命をのばそう!アワード」で厚生労働大臣・優秀賞をいただきました。元気で長生きするためには定期的な運動が必要です。それも独りでするよりは仲間と一緒に運動できれば楽しく励みにもなります。中には、運動だけに止まらず、教育や防災活動に発展している地域もあります。まさに、元気づくりが地域づくりに広がっています。

元気リーダーをはじめ、市民活動センターやメシェレ、四季の家、学援隊など、いなべ市はボランティアの皆さんの活発な活動に支えられています。心より感謝申し上げます。

さて、今年は未(ひつじ)年。古代中国において羊は単なる家畜ではなく、大切な供え物であり、繊維や食料を提供してくれる有難い存在でした。それは漢字の由来にも現れ、「美」は羊の角を頭に着けた姿を美しいと考えた古代人の美的センスから生まれ、「善」もまた羊に由来する漢字です。今年が美しく善行に溢れ、幸多い年となりますことを心よりお祈り申し上げます。

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